ご先祖様の正月「ジュールクニチー(十六日祭)」とは

現在でも旧正月をメインに祝う風習が残っている沖縄ですが、「お正月」が3回あることを知っていますか。

1つ目は、新暦の正月(1月1日)。2つ目は、旧暦の正月。そして3つ目は、あの世の正月(旧暦の1月16日)「ジュールクニチー(十六日祭)」です。沖縄では「あの世」のことを「後生(グソー)」といい、ジュールクニチーは「グソーの正月」、つまりあの世にいるご先祖様の正月として行われています。

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旧暦1月16日に行われる後世のお正月「ジュールクニチー(十六日祭)」

ちなみに、新暦2022年の「ジュールクニチー」は、2月16日です。お墓の前で先祖供養を行ったりするところもあります。今回は、後生の正月「ジュールクニチー」について紹介します。

どうして旧暦の1月16日が「ジュールクニチー(後世のお正月)」なのか?

「ジュールクニチー」の由来は、諸説あります。

沖縄独特の墓参りの風習

●正月の1月1日から15日までは神様がいる神聖な時期なので、不浄を避けてその間には墓参りをせず、16日になって初めて墓参りをする。
●故郷の父母への年頭のあいさつのため帰郷したが、両親は既に亡くなり、墓参りして念頭の辞を墓前で述べた。
●親を亡くし、1月16日の月夜に御馳走をこしらえて墓へ行き、墓苑で泣いていたら亡くなる前の父親が現れたため、後生の人もこの世の人も一緒に通じ合い、分かち合える日であると悟った。
●祖霊にも正月を迎えさせてあげようと、1月16日に墓にご馳走などを供え、分家した身内が集い、三線で祖霊を慰めた。

他にもさまざまな逸話があります。

ジュールクニチーに何をする? 沖縄の地域による違い

ジュールクニチーは、沖縄のほとんどの地域で行われています。ただし、沖縄本島ではささやかな御願(うがん、先祖や神様に祈りを捧げること)が多く、朝からヒヌカン(火の神)へ報告した後、おかずを配した御膳を供える家が一般的です。

ただし、亡くなってからまだ1年廻っていない仏様「ミーサー(新霊)」がいる家庭では1年~3年はジュールクニチーを行う家が多いです。その場合は、代わりに盛大なお墓参り行事「清明祭(シーミー)」を控えます。

【参考記事】
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一方、離島地域(宮古島、久米島、八重山諸島など)では盛大にジュールクニチーを祝う風習があります。正月に帰省できない人でもジュウルクニチーだけは何があっても帰省する人も多いといわれているほど。

小・中・高校も半日で授業が終わり、会社なども早く終わるところがあり、昼過ぎから家族や親戚がお墓に集まり、ごちそうを供え祖先を供養します。お墓の前で三線や踊りも楽しみます。

また、沖縄本島に住む離島出身者は、那覇市の「三重城(ミーグスク)」でそれぞれの出身離島に向かって供え物を並べ、先祖に対して拝みを捧げます。三重城は那覇港の入口にあって、港に入ろうとする海賊を撃退するための防御施設で、ここで送り迎えが行われていたこともあり、いつしか潮川渡り(スーカーワタイ=島から離れて亡くなること)への遥拝(ようはい)が崎樋川(サチヒジャー)の浜から移り、今では離島出身者によるジュールクニチーの行事が風物詩となっています。

琉球王朝時代に築かれた三重城/©OCVB

他にも、家族を亡くして初めてジュールクニチー(十六日)を迎える家庭では、「ミージュールクニチー(初十六日)」の供養としてお墓参りを行います。沖縄でも喪中の家庭では、新正月・旧正月のお祝いごとは控えますが、「あの世の正月」であるジュウルクニチーには、日頃ジュールクニチーを行わない地域でも、盛大に行う家庭が多いです。

お供えものや拝み方

「ジュールクニチー」は故人を慰める意味合いがあるため、お墓とお仏壇へ拝みを捧げます。

お墓参りに行ったらまず「ヒジャイガミ(左の神様)」へ本日の目的を報告。ヒジャイガミには、お酒とシルカビ(白い紙の半紙で神様へのお金として御願で用いられるもの)をお供えします。

墓前には、お酒・お茶・水・供え花・ウチカビ(ご先祖様へのお金で小判のような丸い刻印が打たれている黄色い紙)をお供え。そして、仏壇まで案内をしに来たことを伝えます。

あの世のお金で仏事に使われる「ウチカビ」

そして、仏壇にはお墓参りの前からお酒・茶・果物・お菓子・おかず・お箸・ウチカビをお供えします。お墓から戻って来たら、家族そろってジュールクニチーを執り行っていることと、法事料理も用意したので受け取ってくださいと伝えます。

お仏壇でのおもてなし

「天・地・海」の食材を使った法事料理「ウサンミ(御三味)」

沖縄では御願時に神様やお仏壇へお供えする「ウサンミ(御三味)」と呼ばれる、重箱に詰めたごちそうが欠かせません。「ウサンミ」は中国起源の神仏へのお供えもので、「天・地・海」の食材を使った料理が正方形の重箱に詰められています

お餅重とおかず重で一対になっていて、お餅重は、3個×3個(9個)、×5個(15個)、3個×7個(21個)と奇数個並べる決まりごとがあります。また、おかず重はキレイに四角く区切られた盛り付けが特徴で、カステラかまぼこや昆布、大根やゴボウの煮つけ、豚の三枚肉の煮つけ、かまぼこなどが並びます。

沖縄の行事では欠かせないお供え物「ウサンミ」/©OCVB

清明祭やお祝いのウサンミには、お餅は餡入りやきな粉をまぶしたものの混合が多く、昆布は結び昆布、かまぼこは紅白や紅かまぼことなっています。豚の三枚肉の煮つけは、豚の背を下に詰めます。

一方、ジュールクニチーや弔事でのウサンミには、お餅は全て白餅、昆布は返し昆布、かまぼこは白かまぼこを詰め、豚の三枚肉の煮つけは、豚の背を上に詰めます。

同じウサンミでも清明祭(シーミー)では文字の通り、お祝いの意味合いなのに対し、ジュールクニチーは御先祖様を弔う意味合いが強いので、盛り付け自体も変わってきます。

沖縄県外の人にはなかなか出合う機会がないかもしれませんが、先祖崇拝の風習が色濃く残る沖縄ならではの文化があることを、ぜひこの機会に学んでみてください。

参考サイト:沖縄県メモリアル整備協会

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