首里を思う人々とそこに咲く花から生まれた「首里王朝蜂蜜」

「41BEER」のおいしさの鍵となる「首里王朝蜂蜜」/画像提供:新垣養蜂園

首里の街を盛り上げたいと活動する首里の人々とオリオンビールによって共同開発されたクラフトビール「41BEER(首里(スイ)ビール)」が2021年10月に数量限定で発売されました。

「41BEER」は、原料に首里に咲く花々の蜜を吸った蜜蜂が集めた「首里王朝蜂蜜」を使用しているのがポイント。上品な甘みと華やかな香りが特長の「首里王朝蜂蜜」を素材にすることで、ビールの芳醇な香りが引き立ち、コクの余韻をゆっくりと楽しめる仕上がりになっています。

今回、そのおいしさの鍵となる「首里王朝蜂蜜」を生産する「新垣養蜂園」副代表の新垣伝(あらかき・つとお)さんに、養蜂を通した地域活動や、「41BEER」に寄せる期待、首里の街への思いなどについてお話を聞くことができました。

「首里を花いっぱいしたい!」と願う人々の心から生まれた地元産の蜂蜜

「首里王朝蜂蜜」を生産・製造する「新垣養蜂園」(写真1番右が三代目・新垣伝さん、右から3番目が二代目・新垣勉さん)/画像提供:新垣養蜂園

「新垣養蜂園」は伝さんの祖父・新垣盛弘(あらかき・もりひろ)さんが1954年に創業。70年近い歴史を持つ、沖縄県内で最も古い都市部の養蜂園です。しかし、創業当初に比べると首里の緑や蜜源植物は少なくなり、現在では蜂蜜の収穫量も減少し続けているとのこと。

三代にわたり養蜂を続け、さまざまな課題を抱える中、伝さんは地域の緑化を目指す「NPO法人 首里まちづくり研究会」に賛同し、この活動の一環で、蜜蜂を通じて自然との共生について考え地元産の蜂蜜で地域を盛り上げる「首里ミツバチ・花いっぱいプロジェクト」に参加。「首里王朝蜂蜜」は「NPO法人 首里まちづくり研究会」のプロデュースにより誕生しました。

蜜蜂を通した環境活動に取り組む「NPO法人 首里まちづくり研究会」と地域の人々/画像提供:新垣養蜂園

かつて首里の地域は、今以上に自然豊かで、花の都と呼ばれていました。首里を訪れたペリー提督らの西洋人たちは、「こんなに美しい街は他の地域にはない」と記録を残しているほど。その後、美しい街並みは先の大戦により失われてしまいますが、戦後も首里の人々は庭先に木を植え、花を咲かせ、緑豊かな王都の姿を取り戻そうと努めたといわれています。

その先人たちの思いを受け継ぎ、“首里を今よりもっと花いっぱいの街にしたい”という思いから、2015年にスタートしたのが「首里ミツバチ・花いっぱいプロジェクト」です。

首里生まれの蜂蜜は華やかで上品な味わい/画像提供:新垣養蜂園

伝さんはこのプロジェクトに共感し、首里を蜜蜂の視線で歩く「ミツバチさんぽ」や「採蜜体験会」に協力。首里の小中学校やホテルなどに蜂箱を設置する「蜜蜂教室」も開催し、現在では「新垣養蜂園」が「首里王朝蜂蜜」の生産と製造を担っています。地域のカフェやスイーツ店では「首里王朝蜂蜜」を使用したコラボメニューも提供され、収益の一部は活動に役立てられています。

日々の苦労と努力から生まれる「首里王朝蜂蜜」

三代目として養蜂園の歴史と首里の自然を守り続ける伝さん/画像提供:新垣養蜂園

新垣さんは「41BEER」の発売について「とてもありがたい機会をいただき、長年続けてきたことが報われました。『首里王朝蜂蜜』が首里の街づくりに生かせることや、蜜蜂が自然の循環を作るために活躍していることを沖縄県内外の方が知るきっかけになるとうれしい」と喜びもひとしおの様子。

しかし、養蜂園の歴史と首里の自然を守り続けるには困難も多く、「蜂蜜の収穫は1年のうち春と秋に限られ、季節によって色味や香りに違いがあります。さらに蜜蜂は台風時にため込んだ蜂蜜を食べてしまうため、毎年収穫量が変わり安定的な採取が見込めません」と沖縄での養蜂の難しさについても明かします。

「首里王朝蜂蜜」の主要蜜源である「サガリバナ」

「その中でも『首里王朝蜂蜜』は、蜂箱から半径2kmを飛び回る蜜蜂の性質を生かし、首里の花々のみから採取したとても希少なものです。蜜の糖度が高いセンダングサをはじめ、月桃、サガリバナなどが主要蜜源になっているため、上品な甘みと華やかな香り、滑らかな口当たりが楽しめます」と多くの苦労が重なることで、他にはない味わいの逸品が生まれることも教えてくれました。

半径2kmを飛ぶ蜜蜂は地域の自然環境の指標

蜂蜜の収穫量によって地域の現状が見えることも…※画像はイメージ

また、蜜蜂は環境指標生物ともいわれ、半径2kmを元気に飛ぶことでその街の自然の豊かさが分かる興味深い生き物なんだとか。「首里で養蜂を初めて67年経ちますが、祖父の代に収穫できていた蜂蜜の収穫量と現在のそれとを比べると半減しています。さらに蜜蜂が飲む樋川(ひーじゃー、沖縄の言葉で「湧水」のこと)の水も減り続けています」と養蜂に携わりながら目の当たりにしている環境問題についても新垣さんは口にします。

「ですが、その視点を借りることが、自然を含めた持続可能な街づくりを考えるきっかけにもなりました。蜂蜜の収穫量によって地域の現状が見えてきますが、首里にはまだまだ自然と人とが共存できる環境があります。次世代へ残すべきものは守り続けていきたい。『首里王朝蜂蜜』の生産を続けることで首里の街に貢献していきたい」と今後の街づくりに向けた力強いメッセージもいただきました。

首里の未来に思いを馳せながら味わいたい「41BEER」

缶にはサガリバナや月桃など沖縄を彩る花々をデザイン

最後に新垣さんは「祖父と初めて外出したのは、首里城が復元された1992年でした。普段は一緒に外出することはなかったのですが、戦争での首里城の焼失と再建を目の当たりにしている祖父が僕を連れ出してくれたことがうれしく、記憶に残っています」と創業者である祖父の盛弘さんとの日々を振り返ります。「41BEER」を味わった感想も「ほのかに蜂蜜の香りを感じ、とても飲みやすいです」とにっこり。

夕日に輝く首里城を思わせる褐色の液色に、カラメルのような香りとコクが特長で、首里の長い歴史とそこに暮らす人々の心を現したような奥深い味わいの「41BEER」。花に囲まれた古都・首里と、これからも花に囲まれ続ける首里の街に思いを馳せながら、ゆっくりと堪能してみませんか。

新垣養蜂園」公式サイト

「首里ミツバチ・花いっぱいプロジェクト」公式サイト

「首里まちづくり研究会」公式サイト