「空手」の発祥は沖縄! 沖縄から世界に広がる空手の歴史や流派などを紹介

空手は護身術、スポーツ、精神修養の手段として広く世界で受け入れられています。空手愛好家は今では約190カ国以上、1億3,000万人以上いるといわれています。

空手は沖縄が発祥の地です。沖縄の空手家たちは沖縄の豊かな自然の中でお互いに影響を与えながら世界に誇る空手を創造しました。沖縄空手は護身術で、攻撃するものではなく自分自身や回りを守るためのものです。守礼の心を尊ぶ平和の武なのです。今回は沖縄空手を紹介します。

空手の歴史

空手の起源については、さまざまな説がありますが、詳しいことは分かっていません。なぜなら空手は親から子への一子相伝が主で門外不出だったからです。

分かっていることは琉球王国の士族がたしなみとして学んでいた護身術が「手(ティー)」と呼ばれる武術となり、その後、中国拳法を取り入れて作り上げたということ。

空手は首里、那覇、泊の3つの地域を中心に発展した後、多くの流派が生まれました。1905年には沖縄県内の学校教育に取り入れられ、大正から昭和初期には関東と関西の大学へ紹介され、1927年からはハワイで普及が始まりました。多くの空手家たちの海外での普及活動の努力で空手は世界に広がったのです。

2016年から中学校で武道が必修化され、空手も導入されました。空手の授業は2019年の時点で沖縄県の全144校の中学校のうち90%以上の135校で行われています。2020年の東京オリンピックでは空手が競技種目として正式に採用されました。

沖縄空手の流派

沖縄空手は首里士族の間で発達した「首里手系」、那覇西町を中心に久米・泉崎で発達した「那覇手系」、泊方面で発達した「泊手系」、上地流系に大別することができます。今回は代表的な流派を紹介します。(内閣府参照)

首里手(シュイディー)系

首里手系は政治の中心であった首里の「士(サムレー)」たちによって受け継がれた武術です。佐久川寛賀から松村宗棍へと受け継がれ、宗棍から糸洲安恒、安里安恒、多和田真睦、喜屋武朝徳へ継承されました。その系譜は小林流の知花朝信、松濤館流の船越(富名腰)義珍、屋部憲通、花城長茂、徳田安文、城間真繁らへ受け継がれます。喜屋武朝徳系から少林流・少林寺流へと派生しました。

那覇手(ナーファディー)系

那覇は海外への玄関口として古くから開けた商業都市でした。福州との関係も深く、久米村(クニンダ)は福州を中心にした中国系渡来人の居住区でした。このような環境下で生まれたのが那覇手です。その系譜は東恩納寛量から剛柔流開祖・宮城長順へと受け継がれました。これとは別に仲井間家に代々伝承された劉衛流(りゅうえいりゅう)があります。

泊手(トゥマイディー)系

泊手系は宇久嘉隆と照屋規箴が元祖といわれています。嘉隆と規箴から親泊興寛、山田義恵、松茂良興作ら泊地方の「士(サムレー)」たちによって受け継がれた武術で、松茂良興作に代表されます。その系譜から長嶺将真を開祖とする松林流が派生しました。また、少林流系に多大な影響を与えた喜屋武朝徳も泊手を継承しています。

上地流(うえちりゅう)

開祖は上地完文です。1909(明治42)年に、13年の福州での修業及び指導者として活躍したのち帰国。1926(大正15)年から和歌山での指導を皮切りに、多くの門弟を育成しました。「サンチン」を主とした厳しい鍛錬法で知られています。子息の完英は完文が伝えた3つの型と鍛錬法に、完文の高弟らと5つの型を考案し、上地流空手を完成させました。

空手競技の種類は?

空手組手

空手の競技には大きく分けて「形(かた)」と「組手」があります。


仮想の敵に対する攻撃技と防御技を一連の流れとして組み合わせた演武を1人で披露。審判による採点で勝敗が決まります。また、演武する形は世界空手連盟(WKF)が認定している102種類から選択して行います。

組手
空手場で2人の選手が1対1で対戦します。さらに、対戦形式によって「伝統派空手」と「フルコンタクト空手」の2種類があります。伝統派空手は、相手の体に直接打撃を行わないことが大きな特徴で、「寸止め空手」という呼び名もあります。フルコンタクト空手は相手の体に直接打撃を行う試合をします。防具付きで行う流派、グローブと防具なしの流派があります。

競技で異なる空手道着

形の道着は技を出す際に道着の擦れる音が鳴りやすくなっている/©OCVB

空手道着はどれも同じように見えますが、競技ごとに道着が異なることはご存知でしょうか。形用の道着は重さがあり、生地が固く形が崩れにくいのが特徴で、技を出すときに道着の擦れる音が鳴りやすくなっています。競技の判定をする時に、技の精度をチェックしやすいように、拳や足先などがどんな動きをしても見えるようになっています。

一方、組手用の道着は体を極限まで自由に動かせるようになっていて、素早く技を繰り出すために軽い素材で作られており、5号サイズでわずか600gの道着もあります。一瞬の攻防が勝敗を決めるので、素材の軽さや動きやすさは重要なポイントのようです。

空手で使用する主な部位

平拳(ひらけん)の握り方/©OCVB

空手で使用する部位を一部紹介します。

平拳(ひらけん)
親指以外の指をしっかり握った後、親指を曲げて人差し指と中指を押さえます。小指をゆるめたり手首を曲げたりしないように注意します。拳の手の甲を上に向けた形で人差指と中指の根本の関節で真っすぐ突きます。

裏拳(うらけん)
正拳と同じ握り方で、拳の手の甲を下に向けた形で手の甲全体で手首を捻って打ち、すぐに引き戻します。

手刀(しゅとう)
いわゆるチョップ。指を握り込まず、指を伸ばし指の間を密着させ手刀として上から打ち下ろします。

手刀(しゅとう)/©OCVB

それ以外にも、肘(ひじ)打ちや足の外側の部分で蹴る足刀(そくとう)蹴り、足の指を十分に反らし、足の指の付け根部分で蹴りあげる上足底(じょうそくてい)蹴りがあります。

空手の立ち方や受け

立ち方は最も大切なものです。流派によってさまざまな種類があります。例えば重心の掛け方だけでも違いがあります。重心を体の中心に置く閉足立ち、八字立ち、結び立ち。体重を両足に均等に掛ける前屈立ち。ほとんどの体重を後ろ足に掛ける猫足立ちなどがあります。

「空手に先手なし」「形は受けから始まる」という空手の極意は、受けにより相手の戦意を損わせて不要な戦いを防ぐことです。空手は相手の攻撃を受ける技から始まります。自分の顔(上段)にくる攻撃を腕を上げてかわす上段受け。胸から腰(中段)に来る攻撃をよける中段受け。腰から下(下段)に来る攻撃を腕を下げてかわす下段受けがあります。

沖縄空手の鍛錬法

甕(カーミ)/©OCVB

鍛錬は空手修行の中で最も大切な要素の一つです。 鍛錬法は木の棒に藁を荒縄で巻いて地面に突き立てて突き、蹴り、手刀などを鍛える「巻き藁」。泡盛古酒を寝かす際の甕(かめ)をわしづかみにして、指の力、腕力および足腰を鍛える甕(カーミ)など鍛錬法はさまざまで、ほかにも2人1組で腕をぶつけ合ったり、相手の突きを中段受けで強くはじき飛ばすことを繰り返す鍛錬法などもあります。

沖縄空手用語

空手は沖縄が発祥ということもあり、ウチナーグチによる独特な用語・表現が用いられます。今回はその一部を紹介します。

ガマク
丹田(へそ下の下腹部)を中心とした骨盤の間のくびれた部分。ガマクは日本語には訳せない言葉で、英語では「ウエスト」の意味です。「ガマクを入れる」「ガマクを使う」ことによって打撃などに、より強い威力を発揮させることができるそうです。

チンクチ(一寸力)
屈筋(腕や脚などを曲げるときに使用される筋肉)を締めることで硬度や威力を増す方法です。「チンクチをかける」「チンクチを締める」と使います。

ムチミ(鞭身または餅身)
鞭(むち)のようなしなりのある動き、餅のような粘りのある動きのことです。屈筋(腕や脚などを曲げるときに使用される筋肉)を固めずに柔らかく出し入れします。「ムチミを使う」「ムチミがある」などと使います。

アティファ
「ムチミ」「チンクチ」「ガマク」がそろった状態での「打撃などの威力(破壊力・衝撃度)」のこと。「アティファがある」「アティファが強い」と使います。

4年に1度開催される沖縄空手世界大会

2018年に行われた「第1回沖縄空手世界大会」の様子/画像提供:沖縄県

4年に1度、世界中の空手愛好家が空手発祥の地・沖縄に集まる「沖縄空手世界大会」が2018年から開催されています。2018年に開催された大会には、50もの国と地域から、延べ3,000人以上の選手が参加しました。競技大会とセミナーを通じて空手の技、精神性を学びます。

首里・泊手系の部、那覇手系の部、上地流系の部、古武道(棒)の部、古武道(サイ)の部に部門が分かれ、多くの選手が沖縄空手会館、沖縄県立武道館などの会場で技を競い合います。2022年も8月1日(月)~8月9日(火)まで15歳以上を対象とした「第2回沖縄空手世界大会」および、14歳以下を対象とした「第1回沖縄空手少年少女世界大会」が行われる予定です。

ウェブサイト:第2回沖縄空手世界大会

文化遺産として保存・継承・発展させる場「沖縄空手会館」

沖縄空手会館の特別道場「守禮之館」/©OCVB

豊見城市(とみぐすくし)にある「沖縄空手会館」は沖縄空手を独自の文化遺産として保存・継承・発展させ、空手発祥の地・沖縄を国内外に発信するために作られた施設です。伝統空手の神髄を学ぶための展示施設や空手道場、ショップ、飲食店があり、空手体験プログラムや瓦割り体験イベントなども行われています。空手に興味がある人なら誰でも楽しめますので、沖縄空手会館で空手を体験してみましょう。

住所:沖縄県豊見城市字豊見城854-1(豊見城城址跡地内)
営業時間:展示施設 9:00~18:00(最終入場17:30)、道場施設 9:00~21:00
休館日:毎週水曜日・12月30日~1月3日
電話番号:098-851-1025
公式サイト:沖縄空手会館

沖縄の空手を体験!「空手ツーリズム」

各流派の高段者に指導してもらえます/画像提供:Ageshio Japan 株式会社

沖縄の空手を体験してもらおうと、国内外の観光客向けに体験型のツアーも用意されています。沖縄空手の代表的な流派をそれぞれ体験するものや琉球古武道における主要な4種類の武具(棒、サイ、ヌンチャク、トンファか鉄甲)を学ぶものまで、初心者から熟練した空手家向けのプログラムが用意されており、特設サイトから申し込むことが可能です。
ウェブサイト:Enjoy Karate Tourism in Okinawa!

沖縄空手は歴史があるので奥が深く、まだまだ紹介できないことがたくさんあります。多くの体験プログラムも用意されているので、興味を持たれた方は実際に沖縄空手の魅力に触れてみることをおすすめします。

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