桜咲く沖縄を映し出したビアグラス誕生秘話「グラスアート藍」

「八重岳桜」と「オリオンビール」がタッグを組み、オリジナルのビアグラスが誕生!

毎年1月になると、鮮やかなピンク色のヒカンザクラ(緋寒桜)が咲き誇る名護市八重岳(やえだけ)。その麓に佇む琉球ガラス工房「グラスアート藍」では、「沖縄の透明な景色を、ガラスに写しとる。」をテーマに、海や植物など沖縄の美しい風景を表現した作品を手掛けています。

その「グラスアート藍」の代表作で、日本で一番早く開花する沖縄の桜をイメージしたグラス「八重岳桜」とオリオンビールがコラボし、オリジナルのビアグラスを企画・製造いただきました。

参考記事:沖縄にひと足早く春を告げる、カンヒザクラ(寒緋桜)

八重岳の麓に佇む「グラスアート藍」。毎年1月頃には工房の周辺にヒカンザクラが咲き誇ります

お互いが名護市に工房と工場を構え、桜をモチーフにしたアイテムを扱うなど、名護市と桜でつながる「グラスアート藍」と「オリオンビール」のコラボは、桜の花びらの模様をあしらった温かみのあるデザインが特長です。

今回、沖縄の“春の訪れ”を知らせてくれるグラス「八重岳桜」について、考案者で工房の代表を務める寿紗代(ことぶき・さよ)さんから話を聞くことができました。

伝統を守りながら、独自のデザインを施した琉球ガラスが人々を魅了!

「グラスアート藍」の代表を務め、20年以上にわたり沖縄の風景をモチーフにした作品を生み出している寿紗代さん

琉球ガラス職人として20年以上のキャリアを持つ寿さんは、兵庫県生まれの京都育ち。高校の修学旅行や大学の卒業旅行で沖縄を訪れるうちに他の土地にはない何かを感じ、「ここに住みたい」という熱い思いを抱き、美術系の大学を卒業後、1996年に沖縄へ移住しました。

「沖縄の伝統工芸に携わりたい」という思いがあった寿さんは、移住してすぐに琉球ガラス職人の求人を見付けて応募。気軽な気持ちでの応募だったそうですが、即採用となり、これをきっかけに琉球ガラスの世界へ飛び込んで現在に至るとのこと。当時から約20年の年月を振り返り、寿さんは「まさかこんなに続くとは…」とはにかみますが、その背景には大きな努力と苦労が隠されていました。

琉球ガラスの世界に飛び込み20年以上の寿さん。指導者として人材育成にも携わります

現在では、琉球ガラス職人を目指す人々が年齢、性別を問わず沖縄を訪れて修業に励んでいますが、寿さんが琉球ガラスを始めた約20年前は、まだまだ女性の職人は少なく、男性が活躍するイメージが大きい職業だったそうです。

実際、真夏の沖縄で1,200℃にもなる窯や高温の元玉を扱うガラス作りは、とてもハードで危険を伴う職業です。ガラスを吹く体力や、短い時間で一連の作業を施す集中力なども必要となる肉体労働で、「夏が来るたびに辞めたいと思ったり、くじけそうになったことは何度もあります…」と苦労を明かします。

1,200℃もの高温になる窯や炉と隣り合わせの作業は過酷なもの…

また、最近では多彩な装飾やデザインが施された作品を目にする機会が増えた琉球ガラスですが、寿さんが修業を始めた当時は、赤や青などの鮮やかな原色が中心で、作品のバリエーションや色使いなども少なかったそう。

そんな中、寿さんは「どうして琉球ガラスは原色ばかりなのだろう」という疑問や、「沖縄の透明感のある風景や自然をガラスに写し取りたい」という気持ちを抱き始め、やがて伝統や製法は守りつつ、自分なりの琉球ガラスを作りたいと、2年間の修業を経てフリーとなり1998年に「グラスアート藍」を設立しました。

工房には沖縄の風景を切り取った20年来の作品が所狭しと並びます

その後、独自のセンスを生かし、透明なガラスに小花を描いたり、淡色系に仕上げたりとこれまでにないデザインの作品を生み出すと、売り込み行った先々で「こんな琉球ガラスを待っていました!」と喜ばれ、メディアにも大きく取り上げられるように。

寿さんは女性のガラス職人としても、琉球ガラスに独自のデザインを施すアーティストとしても先駆け的な存在となり、この頃を境に、職人ごとの個性やセンスが光る琉球ガラスが増えていったそうです。

「八重岳桜」を手に取って桜咲く沖縄に思いをはせてみては…

工房を現在の場所に移した際、ネーミングを「八重岳桜」に

今回のコラボグラスのベースとなる「八重岳桜」は、パステルカラーの淡い色が好きな寿さんが、沖縄の桜とその花言葉「心の美しさ」「優美な女性」をイメージしながらデザインしたもの。春の訪れを喜ぶ、ワクワクとした気持ちを濃いめのピンク色で表現しています。

グラスそのものは20年近く前に考案され、毎回少しずつモデルチェンジをしながら現在の形となっていますが、春には周囲に桜が咲く現在の場所に工房を構えた2010年に改めて「八重岳桜」とネーミングしたそうです。

2018年には沖縄の城(グスク)の石垣を表現した作品も発表

工房には他にも、青い海、ハイビスカス、ウージ(サトウキビ)、グスク(沖縄の城)など、沖縄の美しい自然はもちろん、歴史や文化などをテーマにした作品の数々が並び、最近では、県外でインテリアを手掛けるデザイナーと共に作品を開発するなど、新しい手法も取り入れながら琉球ガラスと沖縄の魅力を発信し続けています。

寿さんは「“地元の企業とコラボしたい”という念願が叶いました」と喜びを語ってくれました

「八重岳桜」とオリオンビールのコラボについて寿さんは、「以前から“いつか地元の企業とコラボしたい”という気持ちがありました。オリオンビールのいちばん桜の缶を見るたびに、これを注ぐために八重岳桜はあるんじゃないかと思うくらいだったので、お声掛け頂いた時は念願かなったと思いました」とうれしさをにじませます。

「グラスを購入してくれたお客さんがよくSNSなどに写真をアップしてくれるんですが、オリオンビールの商品と一緒に写した写真がとても多くて、やっぱりセットなんだなあといつも感じていました。コラボは本当にうれしい」と喜びもひとしおの様子でした。

自分の作品が沖縄を知るきっかけとなってほしい

左から、大学生スタッフの長松佳穂(ながまつ・かほ)さん、寿さん、店長の嘉数乙美(かかず・いつみ)さん。工房では女性スタッフも多数活躍中です。

寿さんはインタビューの最後に「グラスを通して、全国で沖縄が一番早く桜が咲くことを知ってほしいです。いま、日本全体が少し暗い時期ですが、桜の開花と聞くとワクワクしたり気持ちが高まると思うので、このグラスを手に取って、自宅にいながら沖縄の春を感じてもらえたらうれしい」とコメント。

また、「沖縄に行ったことがない人が、自分の作品を見て“沖縄ってどんな所なんだろう? 行ってみたい!”と思ってもらえるのが夢です。自分の作品が沖縄を訪れるっきっかけであってほしいです。沖縄の伝統工芸である琉球ガラスに工房を育ててもらったので、沖縄への恩返しですね」と笑顔で締めくくりました。

寿さんをはじめ、工房スタッフの沖縄への愛情と感謝の気持ちが詰まった作品の数々は「グラスアート藍」のオンラインショップから、コラボグラスはオリオンビールの公式サイトから購入が可能です。沖縄ファンの人も、まだ沖縄を訪れたことがない人も、ぜひ一度手に取って、それぞれの沖縄の景色を思い描いてみてはいかがでしょうか。

「株式会社グラスアート藍」
住所:沖縄県名護市中山211-1
電話:0980-53-2110
https://www.glassart-ai.jp/index.html

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