沖縄って、やっぱりいいなと思える、おすすめ小説6選

沖縄好きの皆さんは、これまでにも沖縄に関するさまざまな本を手に取ったことがあると思います。

沖縄が舞台の小説、沖縄をテーマにしたノンフィクション、沖縄の旅の様子をつづった紀行本など、そのジャンルはさまざま。さらに、ここ沖縄では大小さまざまな出版社があり、沖縄県内の本屋さんでは“沖縄県産本”のコーナーが設けられているほど。ぜひ、沖縄を旅する際は書店にも足を運んでみてください。

というわけで、そんな沖縄関連本の中から、今回は、沖縄を舞台にした物語が展開する【小説】をピックアップいたします!

沖縄の優しい空気が包んでくれる「なんくるない」

「なんくるない」(新潮社)

1冊目は、詩人・評論家として活躍した吉本隆明さんの娘で小説家・吉本ばななさん(同書執筆当時は、よしもとばなな名義)の短編集「なんくるない」(新潮社)。沖縄を舞台にした「ちんぬくじゅうしい」「足てびち」「なんくるない」「リッスン」の4本の短編からなる小説です。

「ちんぬくじゅうしい」の幕開け、文庫本にして2ページと2行の中に、吉本さんは沖縄の離島の情景を綴っていますが、船の振動、空、色、風、音…感覚的なことを見事に言葉にしていて、この一連の描写で一気に離島の空気の中に連れて行ってくれます。

心ここにあらずの母、不慮の事故で逝ってしまった忘れられない人、離婚の傷が癒えない自分、野生の少女に翻弄される僕…心に何か抱える人が、沖縄で静かに癒やされていく4つの物語。

“大丈夫だよ”、とささやいてくれる、そんな優しさがこの本の中には詰まっています。

「なんくるない」(新潮社)
よしもとばなな著
定価:572円(税込)
ISBN:978-4-10-135929-8

格好悪くて、格好いいお父さんに涙する「お父さんはユーチューバー」

「お父さんはユーチューバー」(双葉社)

2冊目は、読書コミュニティーサイト「読書メーター」で2020年に「読みたい本ランキング」1位に輝いた浜口倫太郎さんの「お父さんはユーチューバー」(双葉社)。

物語の舞台は、沖縄の宮古島。主人公は、この島でゲストハウス「ゆいまーる」を営む勇吾(お父さん)で、小学生の一人娘・海香と一緒に暮らしています。

いかにも“海の男”のような大らかで豪快な勇吾は、のんびり楽しくゲストハウスを営むかたわら、頭では常に手っ取り早くお金を稼ぐ方法を考えているような、どこか調子のいい一面を持っています。

そんな勇吾がお金儲けとして、今はやりのユーチューバーになると言い出し、周囲を巻き込んで急速にのめり込んでいくドタバタ劇。

島特有のお酒の飲み方「オトーリ」や「花ブロック」「宮古まもる君」「サーターアンダギー」「池間島の八重干潟(やびじ)」「与那覇前浜」など、沖縄や宮古島の文化、スポットが随所に入っていて、沖縄ファンにはたまりません。

この物語の醍醐味は後半の急展開。勇吾も大好きというオリオンビールを飲んで、ゆっくり楽しんでください。

「お父さんはユーチューバー」(双葉社)
浜口倫太郎著
定価:1,540円(税込)
ISBN:978-4-575-24251-5

琉球&沖縄を舞台にした奇想天外なファンタジー「さんかく山のマジルー」

「さんかく山のマジルー 真夏の夜の夢」(ポプラ社)

3冊目は、映画監督・中江裕司さんの「さんかく山のマジルー 真夏の夜の夢」(ポプラ社)です。

映画『ナビィの恋』などで知られる映画監督・中江裕司さんが手掛けた映画『真夏の夜の夢』の書き下ろしサイドストーリーとなっていて、沖縄の島を舞台にした奇想天外でありながらも、ファンタジー要素を含んだ物語です。

中江さんの物語はもちろんですが、日本を代表する絵本作家の一人・荒井良二さんの挿絵もあって、想像をかき立ててくれます。

主人公のマジルーは、人間を見守る精霊・キジムンの子供。人間の中でも信じる者しかマジルーの姿を見ることも、声を聞くこともできません。そんな中、カマルーという首里王朝の王女は、マジルーを認識して、話をすることができます。

感情のないマジルーが、人間であるカマルーと心を交わしていくことで、感情が芽生えていく、不思議な物語。この物語に触れた後は、ぜひ映画『真夏の夜の夢』もチェックしてみてください。

「さんかく山のマジルー 真夏の夜の夢」(ポプラ社)
中江裕司著
定価:704円(税込)
ISBN:978-4-591-11013-3

沖縄の離島って、いいなと思わせてくれる「はるか ニライ・カナイ」

「はるか ニライ・カナイ」(理論社)

4冊目は、「はるか ニライ・カナイ」(理論社)をご紹介します。日本の児童文学作家の大家・灰谷健次郎さんの作品にも沖縄を舞台にしたものがあります。

舞台は、“慶良間ブルー”の青い海が美しい・渡嘉敷島。灰谷さんらしく読者に優しいスタンスで、沖縄の家庭料理の話、自然の話、しまくとぅば(沖縄の言葉)の話、“生きている星砂”の話、渡嘉敷島の漁で取れる魚の話、渡嘉敷島の観光スポットの話…さまざまなことを教えてくれます。

物語のキモは、東京から移住した丸本先生と、東京に住む中学3年生の女の子・篠島裕子さんの視点。渡嘉敷島の歴史を島外の人の視点で語ることで、より島民の心の清らかさが伝わってきます。

「沖縄の島って、いいな」…そんな気持ちにさせてくれる1冊です。

はるか ニライ・カナイ」(理論社)
灰谷健次郎著
定価:1,650円(税込)
ISBN:4-652-01129-6

 “繋がる”ことの意味を考えさせられる「首里の馬」

「首里の馬」(新潮社)

5冊目は、第163回の芥川賞を受賞した、富山県出身の作家・高山羽根子さんの「首里の馬」をピックアップします。

主人公は中学生の頃から、学校にも行かずに、郷土資料の整理に明け暮れていた未名子(みなこ)。来る日も来る日も、沖縄の伝承を記録して、整理して、保管していました。そんなアナログな作業をする一方で、生活費を稼ぐために、週に何日か、オンラインでクイズを出題するオペレーターの仕事をこなしています。

キーワードは「接続」「繋(つな)ぐ、繋がる」ということ。郷土資料の整理は過去と未来を“繋”ぎ、オンラインのクイズオペレーターは、インターネットを介して未名子と世界が“繋”がっています。

未名子は、沖縄は地上戦によって過去と今が分断されてしまった地と考えていて、郷土資料の整理をすることで、“この島の、できる限りの全部の情報が、いつか全世界の真実と接続するように”という使命感を胸に、日々を過ごしています。

“繋ぐ”ことに関して、“馬”がどんな意味を持ってくるのか、ぜひ小説を読んで感じ取ってください。

「首里の馬」(新潮社)
高山羽根子著
定価:1,375円(税込)
ISBN:978-4-10-353381-8

戦後の沖縄にじっくりと思いを馳せたい「宝島」

「宝島」(講談社)

最後は、第160回の直木賞を受賞した真藤順丈(しんどう・じゅんじょう)さんの「宝島」(講談社)です。単行本で500ページ超というボリューム感で少し尻込みしてしまうかもしれませんが、読みやすいのでご安心を。

物語の舞台は、1952年から1972年の本土復帰までの沖縄です。1952年の沖縄はアメリカの施政権下で、まだ戦後の混沌が続く状態にありました。食うや食わずの状態にある沖縄で、その頃に若者の間で流行した「戦果アギヤー(沖縄の言葉で“戦果をあげる者)」の仲間たちをつづった青春物語です。

“戦果アギヤー”の“戦果”は戦争での戦果ではなく、沖縄にある米軍基地に不法侵入して日常の物品を奪って、仲間たちで分け合う成果をあげることを指しました。物資が不足していた沖縄で、いわば、生きるための手段として行われていました。

そんな若者たちの物語の裏で、1972年に本土復帰するまでの沖縄の歴史もつづられていきます。

500ページ超を読む時間、ゆっくりと沖縄のことを考えてみたいと思える作品です。

「宝島」(講談社)
真藤順丈著
定価:2,035円(税込)
ISBN:978-4-06-511863-4


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