八重山諸島を代表する注目のスパイス「ピパーチ」とは？

ピパーチとは主に八重山諸島で食される“島こしょう”のこと。八重山そばには欠かせない調味料で、健康や若さを保つさまざまな効能も期待される、今注目のスパイスです。今回は、そんなピパーチについて、呼び方、使い方から効能、おすすめアイテムまで深掘りしていきます。

そもそもピパーチとは？

ピパーチとは、沖縄、特に八重山諸島で昔からよく食されてきた島こしょうのこと。東南アジア原産のコショウ科のつる性植物で、和名を「ヒハツモドキ」といいます。

独特の甘い柑橘系のような香りがあり、一般的なこしょうよりまろやかな味わいです。八重山諸島でよく食べられるので、八重山出身者には島を思わせる懐かしい味と香りといえるかも知れません。

ピパーツ？ピーヤシ？沖縄でもさまざまな呼び方がある！

ピパーチは別名で島こしょうとも呼ばれますが、沖縄県の中でもピパーチ、ピパーツ、ピパチ、ヒバーチ、ヒハチ、フィファチなどさまざまな呼び方があります。竹富島ではピーヤシと呼ぶ人も多いようです。

この地域ではこの呼び方というものが明確にない印象で、地元の人に「どうしてさまざまな呼び方があるの？」と聞くと、「言いやすい呼び方してるんじゃない?」という答えが返ってきました（笑）。商品名などでも呼び方がさまざまですので、気になる人はチェックしてみてください。

ピパーチとヒハツの違い

ピパーチはヒハツモドキという和名を持ちますが、「モドキ」と付いている通り、「ヒハツ」という植物が別にあります。長こしょうとも呼ばれるロングペッパーがそれを指します。インド原産のコショウ科の植物で、ヒハツとして商品にもなっています。

ヒハツとヒハツモドキは多少成分が違いますが、特徴や栄養価などがほぼ同じなため、区別されずに扱われていることも多いそうです。

ピパーチの効能に注目！

ピパーチと効能がほぼ同じといわれているヒハツはインドが原産地。現地では、アーユルヴェーダ（インド大陸の伝統的医学）に使用される薬草でもあります。

そんなヒハツと同じく、ピパーチにもさまざまな効能があるといわれています。現代では、内皮型一酸化窒素合成酵素（eNOS）という末梢神経の働きを良くする成分が含まれていることが分かり、血流を良くして体温を上昇させる効果があるといわれています。これによって冷えやむくみ改善の効果が期待されています。

さらに、体内の酵素を活性化させるTie2という成分が含まれることも分かってきており、これによって毛細血管が安定化してターンオーバーが促され、アンチエイジング効果も期待されています。さらに、ピパーツに含まれる辛み成分のピペリンには、防虫や抗菌作用があるともいわれています。

沖縄では昔から、風邪の予防や冷えに良いなどといわれるピパーチ。今日から食事に取り入れてみませんか？

ピパーチパウダーの作り方

沖縄、特に八重山諸島では、ピパーチはどこにでも自生しています。もちろん、栽培することもできます。地元ではピパーチの葉を天ぷらにしたり、沖縄の炊き込みご飯・ジューシーに混ぜ込んだりと、実以外の部分も活用していますが、一般的には実をパウダーにして使うことが多いです。ここでは、ピパーチパウダーの作り方を紹介します。

＜作り方＞
① サッと茹でたピパーチの実を干して乾燥させる
② ピパーチの実が完全に乾燥したらミルなどで砕く

八重山諸島に行くと、ピパーチの実を網に乗せて天日干ししているのをよく見掛けます。おいしく食べるためには、とにかくカラカラに乾燥させることが重要です。

ピパーチの食べ方

八重山諸島の石垣島や竹富島では、八重山そば店の卓上にピパーチが置いてあります。沖縄そばにコーレグースをプラスするように、八重山そばといえばピパーチ！　ひと振りすれば甘い香りが漂い、スープの味に深みが増します。さらに、沖縄の炊き込みご飯・ジューシーにかけて食べるのもおいしい。八重山そばと同じ麺類のうどんやそば、ラーメン、パスタにも不思議と合います。

また、肉料理や煮込み料理とも相性が良く、チャンプルーの味付けにはもちろん、ステーキやカレーとも合います。鶏肉に揉み込んでグリルで焼いてもおいしいのでぜひ試してみてください。トマトとも相性が良く、トマトソースはもちろん、トマトを焼いたものにパラリとピパーチを振り掛けて、お酒のアテにするのもおすすめです。

そのほか、沖縄では泡盛やコーヒーに少し混ぜて飲むという人もいます。気になる人はぜひトライしてみてください。