やんばるの森で子どもたちと学んだ「One Welfare」——ヤンバルクイナと自然との共生を考える1日

私たちオリオングループは、沖縄という豊かな自然の中で育った企業として、地域の未来と沖縄、そして地球のサステナビリティを常に大切に考えています。今回はグループのサステナビリティ活動の一環として、「One Welfare(動物・人・環境、すべての幸福)」をテーマに、2025年12月13日、子どもたちと一緒にやんばるの森を訪れる「やんばるで学ぶ 親子スタディーツアー」を開催しました。

■ 「やんばる」ってどんな場所?

沖縄本島北部に広がる「やんばる」は、沖縄の言葉で「山原」、つまり豊かな森という意味が込められています。山々が連なり、多くの命が育まれるこのエリアには、国の天然記念物や希少な動植物が多数生息する、世界からも注目を浴びる一帯です。たくさんの生き物たちが安全に暮らせる“命のゆりかご”とも呼ばれています。ヘゴの葉やスダジイが折り重なって茂る山道を歩くと、独特の自然に育まれた珍しい動物や植物が、今もひっそりと命をつないでるのです。その象徴が、ヤンバルクイナです。

■ ヤンバルクイナとは?

日本で唯一、飛ばない鳥「ヤンバルクイナ」はのどかで優しいヤンバルの自然と共に、飛ばなくても敵に襲われない環境の中で守られるように進化してきました。

ヤンバルクイナは、1981年に94年ぶりの新種として沖縄・やんばるエリアで発見された「飛べない鳥」です。世界でもこのエリアだけにしか生息していないため、日本の中でも特に守らなければならない貴重な存在です。環境省のレッドリストでも、絶滅危惧IA類に指定されています。発見当時は約1,800羽と推定されましたが、一時は約700羽まで激減。沖縄はもとより世界中から絶滅危惧種を守る協力や知見が集まり、保護活動や人工ふ化の成功により、現在では約1,500羽がやんばるの森に暮らしているそうです。

■ 沖縄の自然と命を未来へ紡ぐ、「One Welfare」の思い

私たちオリオングループは、「沖縄の自然と共に生きること」を目指して活動しています。ご縁があって、NPO法人どうぶつたちの病院 沖縄の理事長である長嶺隆先生と出会い、先生が提唱される「One Welfare(動物・人・環境、すべての幸福)」という理念に強く共感するようになりました。

今回はその思いを共有しながら、やんばるの森で子どもたちと一緒に命と自然の大切さについて学ぶイベントを開催しました。当日は12月とは思えないほど暖かい日差しに恵まれ、8組の親子のみなさんにご参加いただきました

実は長嶺先生は全国的にも有名な「命の守り手」。医学博士で獣医師として、傷ついた多くの野生動物、特にヤンバルクイナたちを救ってこられたスペシャリストです。たとえばヤンバルクイナが道路で車と衝突してしまう「ロードキル」。年間30羽近くが犠牲になりますが、長嶺先生はその一羽一羽に真摯に向き合い、治療やリハビリ、生息場所づくりなどを現場で地道に続けていらっしゃいます。私たちオリオングループも「人・動物・環境、すべてが幸せにつながる」という先生の信念に共感し、2020年から商品の売上の一部を寄付する活動も続けています。

■ くいなふれあい公園で「くうた」と出会う

最初は国頭村安田の「安田くいなふれあい公園」へ。ここにはヤンバルクイナについて学べる「クイナの森」という施設があります。

施設紹介 | 安田くいなふれあい公園(公式)
人懐っこいくうたはものおじすることなく私たちの前に姿を見せに来てくれました。
歓声にこたえるように、すましたポーズでカメラ目線を決めるくうた。

みんなの注目は、園のアイドル「くうた」くん。人見知りせずに堂々と歩く姿や、くりっとした目でちょこんと止まるしぐさに、一緒にきていた親子からも「かわいい~!」との声が。施設のパネルや動画を使って、ヤンバルクイナの生活や、保護活動が詳しく紹介されていました。

日本各地、遠く外国からも来館が絶えないクイナとのふれあい館。やんばるの植物や生態系についてのパネルも充実しています。これまで来館したお子さんたちによる、クイナへのラブレターの数々も展示されていました。


見学後は、録音したクイナの鳴き声を森へ流す「プレイバック体験」。森の奥から本物のヤンバルクイナが鳴き返してくれて、見えないけれど確かに生きている命をその場で感じながら、皆耳を澄まして、森に隠れるクイナの姿に思いを馳せました。

このプレイバック調査は、専門家が沖縄各地約300か所で行い、生息数の推定にも大きな役割を果たしています。

森の中から1羽のクイナの鳴き声が、確かに聞こえました。少し見えにくいですが、写真左側、道路と森を隔てる高いネットの壁は、2015年に、地域の方々約100名と設置した、日本初の希少生物保護ネット。ヤンバルクイナをはじめ、森の生き物たちをロードキルから守るために設置されました。
Pokke104さんが描いた壁画にて「クイナ」のサインで記念撮影。

■ やんばる学びの森で、発見と体験

ランチタイムは「やんばる学びの森」で、広い芝生の上でお昼ご飯やそり遊び、寝転んでゴロゴロと自由に楽しむ子どもたちの笑顔が印象的でした。

やんばる学びの森【公式】
人里離れた森の奥に広がる「やんばる学びの森」。宿泊施設も併設され、夏の夜は天体観測のイベントが開催されることもあるそうです。

そのあとは、森を散策。多種多様な植物やカラフルな虫、トカゲなど小さな命がたくさん。ときには先生よりも早く子どもたちがどんぐりや木の実を見つけて、「これなあに?」と大盛り上がり。自然がくれる発見にみんな夢中です。

普段はなかなか目にしない色や匂いそして感触に興味津々。やんばるの生き物を五感で観察しました。シリケントカゲなど、珍しい生き物にも遭遇しました。

■ヤンバルクイナ愛から始まった、命の循環を守る使命。

午後は、NPO法人どうぶつたちの病院 沖縄の長嶺理事長によるお話。ヤンバルクイナの歴史や、絶滅が心配されている理由、クイナを守るための活動についてわかりやすくお話ししてくださいました。

ヤンバルクイナに魅せられて獣医業と希少種の保護に人生をかける長嶺先生。ヤンバルクイナの命を守ることを通して、森や人、ペットも含めた命の大切さを情熱と優しさ溢れる言葉で語ってくださいました。

長嶺先生は、子どもの頃にうるま市の大きな干潟で数千羽の鳥に囲まれるという忘れがたい体験をし、それが鳥や自然を守ろうと志す原点となったそうです。しかし、その干潟も開発で失われ、今では子どもたちに同じ体験を伝えることができません。その思いから、かつての感動や失われた自然を次の世代に取り戻せるよう願いを込め、先生は傷ついたヤンバルクイナの治療やリハビリ、環境調査、ロードキル対策、生態系保全など、現場の最前線で長年尽力されています。ヤンバルクイナや希少生物を守るだけではなく、捨てられた野良猫を保護し十分な治療や避妊手術を施して里親に託すことで、ペットと人間の絆を再び育む活動も、各地で展開されています。(先生の活動についてはこちらもご参照ください。)

One Welfareとは「人も動物も自然もお互いにやさしい存在でいること、幸せでいることが本当の豊かさ」という考え方。やんばるの自然は一見豊かに見えますが、私たちの便利な生活や小さな不注意で自然のバランスが崩れることもあります。

やんばるの道では車をゆっくり走る、外来種を持ち込まない、ごみは必ず持ち帰る――こうした小さな行動が、クイナだけでなく森の多くの生き物たちを守ることにつながります。身近な心がけが「One Welfare」の小さな一歩です。

■ヤンバルクイナのために「とまり木」づくり

イベントの最後は、リハビリ中のヤンバルクイナのための「とまり木」を親子で手作り。「クイナさんのために」と一生懸命に作業する子どもたちの姿はとても印象的でした。病院には今も約70羽のクイナがケガや病気でリハビリ中。ひとつひとつ丁寧に作った「とまり木」に、小さな命が元気を取り戻すようにという願いが込められていました。

クイナの大切なリハビリ道具でもある止まり木を、思いを込めてしっかり作ります。
最後は作り手みんなのサインを。素敵なイラストを残すお子さんも。
「チームオリオン」の大人たちも厳しめの指導(!)を受けながら見事に完成。少年のような笑顔に誇らしげなクイナサイン。

森の緑の香り、鳥の声、土に根づく命。その一つひとつを感じながら、「One Welfare=みんなが幸せに生きること」を子どもたちとともに学んだ、かけがえのないやんばるでの一日でした。これからもオリオングループは、沖縄の自然と命を守り育てる活動を継続していきます。

みんなで作った宿り木は、ヤンバルクイナの保護施設へと届けられ、クイナたちのリハビリに活用されます。

当グループのサステナビリティサイトト https://disclosure.orionbeer.co.jp/ にも詳しくご紹介していますが、「沖縄の自然と文化を未来につなぐ」こと、そして地域とともに生物多様性を守ることが私たちの目指すところです。企業活動そのものが資源循環・生物多様性保全につながるよう、自然や地域社会との共生にむけて、今後も様々な活動を企画しまたいと考えております。

※イベント実施にあたり、NPO法人どうぶつたちの病院 沖縄、安田くいなふれあい公園、やんばる学びの森の皆さま、ご協力ありがとうございました。

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